小説家と新人賞(『作家超サバイバル術』より)

https://www.amazon.co.jp/%E4%BD%9C%E5%AE%B6-%E8%B6%85%E3%82%B5%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%90%E3%83%AB%E8%A1%93%EF%BC%81-%E4%B8%AD%E5%B1%B1%E4%B8%83%E9%87%8C/dp/4334953522/ref=sr_1_1?crid=1I9620PS2288K&dib=eyJ2IjoiMSJ9.x4oFmPy4DfwY4uE-KdYE50EOetEzvr6Q5cARWJCZvDDC395-skoqwQ3dCyw9KISnzIXX5kMRPujHSJ-qhWiO-A.FJsEF6EqOSI_XQ9zAlomU_BzdihxH88C_S1E3wpXNg8&dib_tag=se&keywords=%E4%BD%9C%E5%AE%B6%E8%B6%85%E3%82%B5%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%90%E3%83%AB%E8%A1%93&qid=1774688728&sprefix=%E4%BD%9C%E5%AE%B6%E8%B6%85%2Caps%2C331&sr=8-1
※こちらは光文社刊行の『小説宝石』で連載され、その後、単行本化された『作家超サバイバル術』より、私が書いた部分を抜粋したものです。
中山七里さん、葉真中顕さんが同じテーマでエッセイを書いていますので、そちらも読みたい方はぜひ『作家サバイバル術』をご購入下さい。
これを読んでいるあなたが、まだ新人賞をとっていない小説家志望者なら、まず最初にこう伝えたい。
小説家なんてマジでやめとけ、と。
そしてあなたがもし、すでに新人賞をとっ(てしまっ)た新人作家なら、この言葉を贈ろう。
地獄へようこそ。
最初からかなりきつい書き出しになってしまったが、これが偽らざる気持ちである。出版不況と騒がれる現在、小説家を取り巻く状況は限りなく厳しい。
せっかく苦労して新人賞をとってデビューしても、五年後にはなんと九割以上が消えている。その悲惨な業界の現状について、これから十回に渡り中山七里さん、葉真中顕さん、そして私の三人が赤裸々に語っていく予定だ。おそらく、多くの賢明な方々には「小説家なんて目指すもんじゃない」と理解して頂けるだろう。
しかし、それを読んでもなお小説家を目指したいと思う方、もしくはもうすでに新人賞をとってあとに引けなくなっている方には、この死屍累々の文壇でいかにすれば生き残る(確率を少しでも上げる)ことができるのか、私の経験からできる限りの情報を提供したいと思っている。
この連載を読んだ方の中から、十年後、二十年後の大作家が生まれることを願ってやまない。
さて、連載第一回目のテーマは『小説家と新人賞』ということなので、まずは新人賞について語りたい。
一般文芸の世界では現在、新人賞を受賞することがほぼ唯一のデビューの方法となっている。
もしあなたが必死に作品を書き上げ、投稿し、そして新人賞を受賞したとしたら、これまで味わったことのないほどの喜びと達成感に包まれ、天にも昇る気持ちになるだろう。私も経験したからよく理解できる。
しかし、本当なら喜んでいる場合ではないのだ。受賞と同時にあなたは文壇という、魑魅魍魎が跋扈し、血で血を洗う弱肉強食の世界に投げ込まれたのだから。
新人賞はゴールではなくスタートだと(もしくは地獄の一丁目だと)、ある程度以上のキャリアがある小説家が口を揃えて言うのは、そういう意味である。
新人賞を受賞した瞬間から、あなたが競い合わなくてはならない相手は、同じ新人賞に投稿しているアマチュア作家ではなくなる。では誰との競争になるのか。
東野圭吾、宮部みゆき、伊坂幸太郎、池井戸潤、etc、etc……。
それらの超有名作家たちだ。あなたはいきなり、そのこれまで憧れていた売れっ子作家たちと同じ土俵で戦わなければならなくなる。
あなたのデビュー作は『東野圭吾の最新作!』『宮部みゆきの渾身の一作!!』等の隣にひっそりと置かれる。しかも初刷部数が少ないので単価は高い。
誰があなたの作品を買うであろう。残念ながらほとんどの場合、家族や知り合いしか買わないのだ。
デビュー作がほとんど売れず、出版社に大きな赤字を負わす。それゆえ、二作目以降のプロットがなかなか通らず、なんとか苦労して刊行にこぎつけたとしても初版部数が抑えられているので話題にもならず、ひっそりと消えていく。その負のスパイラルに心が折れ、断筆してしまう。それが大部分の新人作家のたどる道である。
それを避けるためにはどうすればいいのか? 残念ながらはっきりとした答えはない。
最も理想的なのは、デビュー作がメディアに取り上げられたり、有名人がSNSで感想をアップしたりしてヒットすることである。
しかし、それにはかなり運の要素が強い。
どれほど内容が良くても売れる保証は全くないというのが、この業界のつらいところだ。ただ、生き残る作家の大部分は、デビュー作がある程度以上のヒットをしている。
デビュー作がヒットする確率を大きく上げる方法は、あるにはある。
それは……