小説家と金(『作家超サバイバル術』より)

小説家とお金についての赤裸々な内容を余すところなく大公開! 小説家って儲かるの?
知念実希人 2026.04.10
読者限定

※こちらは光文社刊行の『小説宝石』で連載され、その後、単行本化された『作家超サバイバル術』より、私が書いた部分を抜粋したものです。

中山七里さん、葉真中顕さんが同じテーマでエッセイを書いていますので、そちらも読みたい方はぜひ『作家サバイバル術』をご購入下さい。

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 さて、連載第二回目にして、早くもこんな生々しい話題について書くことになった。

 けど皆さん、生々しい話、好きでしょ? お金の話、大好きでしょ?

 新人作家や作家志望者の中には、「いや、自分は金になんかに興味ない。もっと純粋な気持ちで執筆に当たっている」と主張する人もいるかもしれない。ただ、私はこう思う。

 プロの作家になりたいなら、金に興味を持たなくてはいけないのだ。なぜなら、プロ作家とは商業作家のことを指すのだから。

 そう、プロになるということは『商業』作家になることなのだ。商業、すなわちビジネスである。プロの作家にとって執筆とは、金銭が発生するビジネスである。ここを勘違いしている新人作家が多いように私は感じる。

 出版社もビジネスとして小説を刊行している。もちろん、出版が文化事業の側面を持っていることは否定しない。しかし、出版社には書籍を売ることで利益を上げ、それを社員や(上場している場合は)株主に還元するという、最も優先すべき大切な責務がある。

 もしあなたが「自分の作品は売れる必要はない。価値が分かる人にだけ読んでもらえばいい」と思っていたら、出版社から本を刊行しようとするのはやめるべきだ。あなたの本を商業出版するのには、何百万円もの費用がかかる。もし本が売れなければ、その赤字は出版社がかぶることになるのだから。

 売れなくてよいなら、ブログや自費出版で世間に問うなど、いくらでも方法はある。

 現在、出版される小説の約九割は赤字だという。あなたがデビューしたとしても、刊行された作品は多くの場合、出版社にダメージを与えてしまう。にもかかわらず、なぜ出版社があなたの作品を刊行しようとするのか。

 それは、あなたに可能性を感じているからに他ならない。将来、売れっ子作家になる可能性あるとあなたの才能に期待し、そしてリスクを負って投資をしてくれているのだ。だからこそ新人のうちは、「刊行して頂く」という感謝の気持ちを忘れてはならないと思っている。

 過剰にへりくだる必要はないが、新人作家がまるで自分が大御所であるかのような横柄な態度をとるのはいただけないし、なにより滑稽だ。

 ここまで読んだ人は、「九割の小説赤字なのに、どうして出版社はやっていけるの?」と思ったかもしれない。それは、残りの一割の中にベストセラー作品があるからだ。

 何十万部、何百万部も売れるベストセラー作品が出版社にもたらす利益は、九割の作品の赤字を補ってあまりあるものである。つまり、売れっ子作家たちが稼ぎ出した金の一部を新人作家に投資し、将来の売れっ子作家を発掘するというのが、出版社のビジネスモデルなのだ。

 投資を受けるあなた方には、将来の売れっ子作家になるべく全力を尽くす義務があることをぜひおぼえていただきたい。

 さて、新人作家と出版社を取り巻く金銭事情をある程度は理解したところで、きっとあなたはこう思っているだろう。

 そんなことより、小説家は儲かるのかを教えろよ。

 その質問に対する私の答えは……

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